kintoneの運用サポート先から、こんなお問い合わせをいただきました。
「一部のユーザーが休暇申請アプリを使うと、社員番号のルックアップフィールドがグレーアウトされて入力を受け付けません。本社管理部ユーザーでは問題ないですが、一部のユーザーは休暇申請アプリが使えない状態です。アプリのアクセス権は問題ないはずです。どうしたら良いですか？」
調べてみると、アプリのアクセス権にしっかりと問題が有りました…💦
発生した状況
- アプリ名：休暇申請パック（社員名簿＋休暇申請のアプリパック）
- 田中 二郎さん（本社管理部）→ アプリが使える
- 木村 三郎さん（製造部）→ 社員番号のルックアップ取得が押せない
休暇申請アプリのアクセス権設定には、Everyoneグループにレコード閲覧・追加・編集権限があり、一見すると何も問題が無いように見えます。
しかし、木村三郎さんでログインしてアプリを使うと、確かに社員番号のルックアップがグレーアウト状態で操作出来なくなっています。
原因は、ルックアップ参照元アプリのアクセス権設定
調べてみると原因は、ルックアップ参照元の「社員名簿」アプリのアクセス権設定でした。
問題のユーザーでは、ルックアップフィールド以外のフィールドは普通に操作できたので、怪しいのはルックアップ参照元アプリ（社員名簿）の設定内容だと思い至りました。
ルックアップ参照元の社員名簿アプリのアクセス権設定を調べてみると、以下の通り本社管理部だけにレコードアクセス権が設定されており、Everyoneグループには一切のアクセス権がありませんでした。
これでは、本社管理部に所属していないユーザは社員名簿を見ることが出来ず、他アプリからルックアップでも参照できません。その結果、本社管理部に未所属のユーザーは、休暇申請のルックアップフィールド（参照元：社員名簿）を操作できなくなっていたのです。
しかし、昨日までは使えていたのに、なぜアクセス権の設定が変わったのでしょう？
なぜアクセス権を変更したのか？
この会社では、「本社管理部」のメンバーが人事部を兼任しており、社員名簿アプリの管理者でした。
最近、社員名簿アプリで未使用の「社員の住所と連絡先の電話、メール」の赤枠の欄を入力して活用し始めたので、個人情報保護のために「本社管理部」のメンバーだけが見れる様にアクセス権を変更した、という事情が分かりました。
うーん、なるほど。でも「アクセス権の設定変更は、事前に相談しましょう」と言ったら「誰に？」と切り返されました💦 この会社のkintone管理者は、本社管理部のメンバー２名だけなのです。
しかも、うち1名は名前だけ管理者の上司なので、kintoneの技術情報には詳しくありません。
これはもう「仕組み化」が必要なので、kintoneの運用ルールをもう一度整理し直すことにしました。
（１）マスタ系アプリの命名規則の統一
マスタ系アプリの命名規則をMST-[アプリ名]に統一（例：ＭST-社員名簿）しました。
また、マスタ系アプリのアプリ管理者とレコード削除権限は、本社管理部に統一しました。
アプリ名にMSTが付いているアプリは、他のアプリからレコードを参照される大切なアプリだという認識を持って頂く様にしました。マスタ系アプリを探す場面でキーワード検索もし易くなります
（２）マスタ系アプリを参照しているアプリと利用ユーザーの把握
MST系アプリを参照しているアプリを調べて把握する方法を覚えてもらいました。
MST系アプリを参照しているアプリの調べ方は、
アプリの設定＞設定＞このアプリを参照しているアプリ と操作します。
MST系アプリを参照しているアプリが判明したら、アプリ管理の画面で利用状況（レコード数、最終レコード更新日など）を調べて、アプリの利用状況や利用しているユーザー（レコードの作成者、更新者）を把握します。
（３）マスタ系アプリの仕様変更の事前告知
MST系アプリ重要な修正（フィールドの削除やアクセス権の変更）は、利用ユーザーが参加しているスペースの掲示板等で、事前に「修正の予定日、修正の目的」を告知して、ユーザーに注意を促す様にします。
可能ならば、アプリの仕様変更を告知する専用の掲示板アプリを作成して運用します。
🎉今回の解決方法
今回は、取り急ぎ休暇申請アプリが使える様に以下の通り対応しました。
- 休暇申請アプリ のアクセス権設定を開く
- Everyoneグループの「閲覧」の権限をチェック
- 保存して反映
これで全てのユーザーが、休暇申請アプリのルックアップボタンを押せるようになりました。
次に、フィールドのアクセス権設定で、個人情報（住所、電話番号、メールアドレス）フィールドを本社管理部の所属ユーザーだけが閲覧・編集できる様にして、Evryoneグループは閲覧できないようにしました。
✔今回の教訓
今回の事例を教訓にして、この会社では、3カ月に1回アプリの棚卸を実施することにしました。
具体的には、以下の手順で行います。
- 各部署に継続して利用したいアプリ名を申告してもらいます。
- 利用申告の無かったアプリを、管理部だけがアクセスできる「削除予定」スペースに移動します。
- 「削除予定」スペースに移動したアプリは、30日間「復旧申請」が無ければ削除します。
※削除後の2週間以内であれば、アプリの復旧は可能です。
このルールを実施してから、利用されてない野良アプリが激減し、アプリへの関心が高まりました。
やはり、仕事もアプリ活用も「愛」が無いとだめですね😀
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