「明日の現場、天気は大丈夫だろうか?」 「イベント当日、雨だったらどうしよう……」
業務のなかで天気を気にする場面は意外と多いものです。そのたびに天気予報サイトを開いて確認し、kintoneに手入力で転記している――そんな運用をしている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、kintoneのドロップダウンで都道府県を選ぶだけで、本日・明日・明後日の天気と最高・最低気温が自動で表示されるアプリの作り方を、kintoneのライトユーザー向けにできるだけかんたんに解説します。難しいプログラムの中身には踏み込まず、「何ができるのか」「どう役立つのか」を中心にお伝えします。
1. kintoneと外部API連携のメリット
kintoneは、業務データを自分たちで自由に管理できるとても便利なツールです。ただし基本的には「人が入力した情報を扱う」アプリであり、外の世界の最新情報は自動では入ってきません。
ここで活きてくるのが 外部API連携 です。APIとは、ざっくり言えば「外部のサービスから情報をもらってくる仕組み」のこと。これをkintoneと組み合わせると、次のようなメリットが生まれます。
- 最新情報が自動で手に入る:天気予報、為替レート、郵便番号からの住所など、最新情報をリアルタイムで取得できます。
- 転記の手間とミスがなくなる:別サイトを見て手入力する作業がゼロに。コピペ間違いや古い情報のまま放置、といったヒューマンエラーを防げます。
- 1画面で業務が完結する:必要な情報がkinteneの同じ画面にそろうので、画面を行ったり来たりせずに判断できます。
- 大がかりな開発が不要:JavaScriptファイルを1つアップロードするだけで実現できるケースが多く、専任のエンジニアがいなくても始められます。
今回の「天気予報」は、この外部API連携のメリットがとても分かりやすく体感できる題材です。
2. 気象庁APIの特徴
天気情報を取得できるサービスはいくつかありますが、今回は 気象庁が公開しているデータ を利用します。
理由はシンプルで、業務利用との相性が非常に良いからです。
- 完全無料で使える:公共データとして公開されているため、利用料金はかかりません。
- 認証キー・申し込みが不要:多くの天気APIは事前の会員登録やAPIキーの発行が必要ですが、気象庁のデータはURLにアクセスするだけ。準備のハードルがほぼありません。
- 信頼性が高い:気象に関する国の専門機関である気象庁そのもののデータです。情報源として、これ以上ないほど信頼できます。
- 全国をカバー:47都道府県すべての予報を取得できます。
- 扱いやすいデータ形式:JSONという、プログラムから扱いやすい形式で提供されています。
「無料」「キー不要」「公式機関の信頼性」という3拍子がそろっているため、社内の業務アプリに組み込む第一歩として最適です。
※ なお、このデータは気象庁の防災情報サイトが内部的に利用しているもので、一般向けに「商用API」として正式提供・保証されているものではありません。利用上の注意は後述の「4. API利用時の注意点」で詳しく触れます。
3. デモ画面と作り方の流れ
できあがるもの
完成イメージはとてもシンプルです。レコードの新規登録・編集画面に 「地域選択」ドロップダウン があり、都道府県を選ぶと、その下に「本日、明日、明後日」の天気予報の表が自動表示されます。
なお、週間天気予報は毎日11時ごろと17時ごろに更新されますので、明後日の天気予報を知りたい場合は、
11時過ぎ以降に取得するのが確実です。

本日・明日・明後日の 天気・最高気温・最低気温 がひと目で分かります。
※ 本日の最低気温が「-」になっているのは不具合ではありません。気象庁は「これから訪れる予報」を提供するため、すでに朝を過ぎた当日の最低気温は予報として配信されない仕様です。実際の運用でもこの点はそのまま「-」表示にしておくのが正確です。
作り方の流れ(4ステップ)
難しいコードの話は抜きにして、流れだけ押さえれば大丈夫です。
- アプリを作る
kintoneで新しいアプリを作成します。 - ドロップダウンを追加する
フィールドコードを「都道府県」とし、選択肢に各都道府県名(例:東京都、大阪府…)を登録します。 - スペースを配置する
天気の表を表示したい位置にスペースを置き、要素IDを「weather_space」に設定します。 - JavaScriptファイルをアップロードする
下記のリンクから天気取得用のJavaScriptファイルをダウンロードします。
アプリの設定 →「JavaScript / CSSでカスタマイズ」からアップロードして保存します。
※ダウンロードファイルのパスワードは、こちらのページからお問い合わせ下さい。
これだけで完成です。コードの中身を理解する必要はなく、「都道府県」「weather_space」という名前さえ合わせておけば動作します。あとはレコードを開いて都道府県を選ぶだけで、表が自動で出てきます。
4. API利用時の注意点
便利な気象庁データですが、業務で安定して使うためにいくつか押さえておきたいポイントがあります。難しく考える必要はなく、「ここだけ気をつければOK」というレベルです。
① エリアコード(エントリパラメータ)の指定
取得するURLの末尾には、都道府県ごとに決められた 6桁のエリアコード を付けます(例:東京都=130000、大阪府=270000)。ここを間違えると、まったく別の地域の天気が表示されてしまいます。今回のアプリではコード内に都道府県とエリアコードの対応表を持たせているため、利用者は意識する必要はありませんが、地域を増やしたいときはこの対応表を編集する、という点だけ覚えておくと安心です。
② 「今日の最低気温」は提供されない
前述のとおり、当日分の最低気温は予報として配信されません。データ上は便宜的に最高気温と同じ値が入っていることがあるため、そのまま表示すると「最高も最低も同じ気温」という不自然な表示になってしまいます。今回のアプリは当日の最低気温を「-」と正しく表示するように作られています。
③ より正確な気温は「週間予報側のアメダス地点コード」で
気象庁のデータでは、天気の文章は「区域コード」(東京なら130010など)、気温は「アメダス地点コード」(東京なら44132など)と、別々のコードで管理されています。さらに、本日・明日の気温は短期予報に、明後日以降の気温は 週間予報 に入っています。明後日以降の最高・最低気温まで正確に表示したい場合は、この週間予報側のアメダス地点コードを参照する設計にしておくと、より精度の高い予報が得られます。今回のアプリはこの週間予報も読み込むようにしているため、明後日まできちんと気温が表示されます。
④ 公式保証されたAPIではない点
このデータは仕様が予告なく変わる可能性があります。また、短時間に大量アクセスするのはマナー違反です。今回のアプリはkintoneの「プロキシ」機能を通じて節度ある形でアクセスしています。商用サービスへの組み込みなど大規模利用を検討する場合は、利用範囲を事前に確認し、自己責任で運用してください。
5. 業務への活用事例
天気予報をkintoneに取り込めると、さまざまな業務がスムーズになります。代表的な6つの活用例を紹介します。
① 建設・屋外作業の作業可否判断
工事や設備点検などの予定アプリに天気を表示すれば、雨天時の順延判断や前日の段取り変更がその場でできます。「明日は雨だから資材搬入を翌日に」といった調整が、予定表を見ながら即決できます。
② イベント・店舗運営の事前準備
屋外イベントの開催可否や、来客数の予測に活用できます。晴れの日は屋外席を増やす、雨の日は人員を絞るなど、天気に応じた運営判断を予約・シフト管理アプリと連動させられます。
③ 配送・物流のスケジューリング
配送計画アプリに天気を表示すれば、悪天候が予想される地域への配送順や納期の調整がしやすくなります。荒天による遅延を見越して、事前に顧客へ連絡する運用も組めます。
④ 農業・生産管理での作業タイミング判断
散水・収穫・防除など、天候に左右される作業の計画に役立ちます。「明後日まで晴れが続くから収穫を前倒し」といった判断を、栽培管理アプリ上で行えます。
⑤ 営業・訪問計画の最適化
訪問予定アプリに訪問先エリアの天気を出せば、悪天候が予想される日のリスケや、移動ルートの組み替えがスムーズになります。屋外を伴う営業活動の負担軽減につながります。
⑥ 施設・設備管理と防災対応
降雪予想にあわせた除雪業者の事前手配、台風接近時の設備点検・備品確保など、先回りの対応が可能になります。施設管理台帳と組み合わせれば、リスク対応の抜け漏れを防げます。
いずれも共通しているのは、「天気を見てから人が判断・転記していた作業」を、判断する場所(kintoneの画面)に天気そのものを持ってくることで効率化している点です。
6. まとめ
今回は、kintoneと気象庁のデータを連携させて、天気予報を自動表示する業務アプリの作り方を紹介しました。ポイントを振り返ります。
- 外部API連携で、最新情報の自動取得・転記レス・1画面完結が実現できる。
- 気象庁のデータは 無料・キー不要・高信頼 で、最初の一歩として最適。
- ドロップダウン+スペース+JavaScriptファイル1つで、コードの中身を理解しなくても導入できる。
- エリアコードの指定や、週間予報側のアメダス地点コードの活用など、いくつかのコツを押さえればより正確に。
- 建設、イベント、物流、農業、営業、施設管理など、活用の幅はとても広い。
天気予報はあくまで一例です。同じ要領で、為替・住所検索・祝日判定など、無料で使える公共系の情報はほかにもたくさんあります。「いつも手で調べて転記している情報」があれば、それはAPI連携で自動化できるサインかもしれません。
まずは天気予報アプリから、kintoneの外部連携の便利さをぜひ体感してみてください。
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