新しいプロセス管理用のJS関数(2025年10月アップデート)の活用方法をまとめてみました
💡 何ができるのか?
2025年10月のアップデートで、kintoneにプロセス管理の情報を直接取得できるJavaScript API関数が新たに3種類追加されました。
kintoneのプロセス管理とは、紙やメールで行っていた申請・承認の業務をkintone上でアプリ化する機能です。申請・承認などのワークフローをステータス、アクション、作業者の3つの項目で可視化します。これにより申請・承認やタスク管理などの業務をネット上で行える様になり、且つ進捗状況の把握を容易にします。
3つの新関数を使うことで、プロセス管理の設定内容・アクション一覧・作業者情報をJavaScriptで取得できるようになりました。
これらを組み合わせると、状況に応じたダイアログ表示や自動メッセージ、ボタン制御など、ユーザーにわかりやすい動的なUIが作れます。
| 関数名 | 内容 | 主な活用イメージ |
|---|---|---|
kintone.app.getStatus() | プロセス管理の設定全体を取得 | アプリの承認フローを一覧で確認 |
kintone.app.record.getStatusActions() | 現在できる操作(承認・差戻しなど)を取得 | 次にできるアクションを自動表示 |
kintone.app.record.getAssignees() | 現在の作業担当者を取得 | 「今、誰が対応中か」を即表示 |
🆕 何が変わったのか?
これまでもREST APIを使えば似たことはできましたが、サーバー通信の設定やJSON処理などの専門知識が必要で取扱いが難しく、API利用回数の制限もありました。
今回のJavaScript APIは、ブラウザ内で直接呼び出せるため操作が簡単で、回数制限もありません。
そのため、ステータスや作業者の状況に合わせて、リアルタイムに画面表示を変えたり、メッセージを出したりする“動くUI”を手軽に作れるようになりました。
| 項目 | これまで(REST API) | 変更点(JavaScript API) |
|---|---|---|
| 実装方法 | RESTサーバーと通信設定が必要 | ブラウザ内で直接実行可能 |
| 難易度 | JSON処理など専門知識が必要 | Promise構文で簡単に書ける |
| 実行制限 | 回数制限あり | 制限なし(軽量実行) |
| UI操作 | 画面の再描画が必要 | 即時に反映できる |
| 利用目的 | 機能追加のカスタマイズ用 開発者向け | ユーザーの操作性を向上させる画面づくりに最適 |
🌈 新関数の活用事例
① 一覧画面でプロセス管理の設定内容をダイアログ表示
getStatus()を利用して、アプリに設定されているプロセスの全体像(ステータスやアクション構成)をダイアログで表示します。これによりアプリの設定画面が見れないユーザーでも、「アプロセス管理の設定内容」をいつでも確認でき、承認者や担当者が交代しても迷わず業務を進められます。研修や引き継ぎ時にも役立ち、チーム全体で共通のフロー理解を深めることができます。

② 自分が作業者かを自動判定
getAssignees()で現在の作業担当者を取得し、ログイン中のユーザーと照合して「あなたは担当者です」または「担当外です」と自動表示。
これにより、承認者・依頼者・閲覧者など立場の違うユーザーが、今の自分の役割をすぐに把握できます。
誰が対応すべきかが明確になり、承認漏れや担当の取り違えを防止できます。

③ 編集画面で承認済レコードを自動ロック
getStatusActions()を利用して、ステータスが「承認済」や「完了」のレコードでは、全フィールドを自動的に編集不可に設定します。ユーザーに「編集」のアクセス権があっても編集不可にします。
デモ画面は、ステータスが「申請中」のレコードの金額を50,000円⇒60,000円に編集して保存していますが、プロセス管理で「承認」した後では、編集モードにしても全てのフィールドが編集不可になっています。
これにより、承認済のレコードを改ざんするミスを防ぎ、データの信頼性を高められます。
操作前にダイアログで警告表示することも可能で、システム管理者の負担を減らす安全設計が実現できます。

④ ステータスごとに背景色を切り替え
現在のステータス名を取得し、進行中・承認待ち・完了などの状態ごとに背景色を変えます。
「未申請=オレンジ」「申請中=黄」「承認=水色」など、色で状態を伝えることで、一覧や詳細画面を開いただけで進捗が一目瞭然になります。
作業状況の視認性が向上し、業務の進捗状況を「見える化」することができます。

⑤ 担当者の業務負荷を可視化(ダッシュボード連携)
getAssignees()で全レコードの担当者を取得し、担当者別の件数を自動集計。
ダッシュボード画面やカスタムビュー上に「担当者ごとの処理件数グラフ」を表示できます。
これにより、誰に作業が集中しているかがリアルタイムで把握でき、業務分担の見直しやフォロー体制の調整に活用できます。
マネージャーにとっては現場の“見える化”を支える有力な指標になります。
⑥ プロセス進行をトリガーに外部通知(TeamsやSlack連携)
getStatusActions()でステータス変更を検知し、変更時にTeamsやSlackへ自動通知を送信します。
「◯◯さんの承認が完了しました」などのメッセージをチャンネルに投稿できるようにして、情報共有の遅れを防止できます。
REST API連携と違い、画面操作の中で完結するためリアルタイム性が高く、通知の漏れも減らせます。
⑦ プロセス情報を使った“次の行動ガイド”表示
getStatus()とgetStatusActions()を組み合わせて、現在のステータスに応じた「次の手順」をガイドとして表示します。
たとえば「見積承認後は契約申請を実施してください」といった案内を自動でポップアップ。
利用者が迷うことなく次の業務に進めるため、マニュアル要らずの“案内つきアプリ”を実現できます。
⑧ ステータス条件で関連アプリ情報を自動表示
現在のステータスに応じて、別アプリ(例:請求・納品・出荷管理など)の関連情報を自動で読み込みます。
たとえば「承認済」のときだけ請求書データを表示するといった、業務連動型のUIを構築可能です。getStatus()をキーにすれば、複数アプリを連動させた“プロセス横断ビュー”を作ることもできます。
業務フロー全体を1画面で見渡せる新しい使い方です。
🎯 まとめ
今回のJavaScript API追加によって、kintoneは「見せ方を変える」だけでなく、
状況に応じて“動く”アプリを誰でも作れるようになりました。
REST APIで似たことは可能でしたが、設定や通信処理の難しさ・回数制限といった壁がありました。
新APIではそれらを解消し、より自然でリアルタイムな画面制御が可能になりました。
たとえば、作業状況に合わせてメッセージを出したり、他のアプリと自動連携したり──
アプリがまるで“アシスタント”のようにチームを支援する時代が始まっています。
📘 おすすめの第一歩:
詳細画面に「現在の担当者をポップアップ表示」するボタンを追加してみましょう。
あなたのkintoneアプリが、現場に“声をかけてくれる”存在に変わります。
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